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音の無い世界。

昨日のお仕事で、1人で食べに来た背の高いお兄さんを担当した。

カウンターの端に座り、じっくり時間をかけてメニューを見ていた。
いつもの事ながら、目の端でレデイーになるのを確かめつつ他のお客さんの相手もしつつ。
で、目で合図があり駆け寄った。

最初の彼の動作で察知した。
彼は音の聞こえない人。
指と目で『これを下さい。』と注文。

私も自然と動作と口の動きが大きくなってる事に気づく。そして、これもかれこれ8年くらい前になるのか?NYで、手話を使った舞台に出演が決まった事があり、猛烈に勉強した時期がある。で、1つだけまだ忘れてはいなかった型ち。
『サンキュー』(手をあごに置き、下へおろす。)

やってみた。
そしたら、ものすごい笑顔と驚きの間の顔で『サンキュー』と、手話で返してくれた。

そして浮かれポンチの私は、オーダーされたお寿司をサーブしたら、その前にオーダーされたお味噌汁をサーブするのを忘れ、彼に『スープをもらってない』とジェスチャーで訴えられる。

ごめんなさいの手話を知らないので、お味噌汁を急いで運んで、ジェスチャーで『ごめんね!』と誤り、頭をポカポカ叩いて、クルクルパーの顔をしたら大ウケしながら、大丈夫大丈夫とジェスチャーしてくれた。

彼の音の無い世界が、ちょっと素敵な空間に思えた。
何かとてもゆっくりで豊かな時間が流れている様な世界。
彼が醸し出す雰囲気が、それを思わせた。

by coyoteno1 | 2013-10-21 13:34